制服
今、中央区にある区立泰明小学校ではブランド制服導入に関して保護者からの反発のみならずマスコミや世論も批判の方へ大きく動いています。
なんでもイタリアのブランド「アルマーニ」製で、ニュースによると全て揃えると8~9万円かかってしまうとか。
「公立なのに、どうしてそんな高額な制服を用意する必要があるのか?」「小学生はすぐに遊んで汚すのに!」「服でスクールアイデンティティを出さなくてもよい」等々、様々な意見が出ていますが、おおむね一貫しているのは「アルマーニ製の制服には反対」だということです。
今回の報道を見ていて、正直筆者も「制服高いな……」とは思ったのですが、ちょっと横にも逸れつつある議論の一つ「そもそも小学生には制服いらない」という意見に対し、元教師の視点で見た制服のメリット・デメリットについて記していきたいと思います。

公立小学校でも「制服」はあるところはある
今回の報道で見つけたコメントの中に「たかが公立小なのに制服なんて必要あるの?」という意見ですが、実際は東京都内でも私立っぽい見た目の制服を導入している小学校はあります。
「例えば創立100周年記念の一環としての制服導入」などで、確かに「数万円単位での初期費用がかかる」というデメリットはありますが、それだけではありません。
メリットとしては、①朝の身支度で服を選ばなくて効率的、②私服を買う頻度が減る、③(なんとなく)きちんと感が出る、です。
①については、意外に小学生を持つ親になってみるとわかりますが、今日着ていく服で親と揉める家庭は意外にも多く、「こんな服を着て学校に行きたい(子どもの意見)」に対し、「そんな服で行っては恥ずかしいからやめてほしい(親の意見)」の戦いがなくなることを意味します。
次に②ですが、これも最近公立校の子どもを見ていると、結構私服でブランド製の服で登校している子がいます。「うちは衣料量販店派」「うちはユニクロ派」「絶対ラルフローレンやバーバリー派」などなど、公立校でも「私服」の差が出ています。
こうした私服で余計な出費や気を回さないという意味合いで、制服を肯定的に捉えるのも一つです。
最後に③ですが、確かに見る側の主観や好みに大きく左右されますが、筆者は確かに「きちんとして見えてしまう」“制服マジック”があるのは否定できないと思っています。
現に制服を導入した後、人気が出て児童数が増えた公立小学校もあります。少子高齢化の進む日本では、人口が密集する東京においても公立小学校の統廃合とクラス減が年々進み、「1学年1クラスで6年間ずっと一緒」の学校もあるのです。
「子どもにいかに来てもらうか」そのための経営戦略の一つとしての制服導入は、私立でも行われているので、公立だからNGにしてしまうと学校自体廃校になってしまう可能性もあるのです。そして学校が廃校になることで、学区の子どもたちは遠く離れた学校に歩いて通うことにもなるのです。(元々公立小学校のメリットは、「地域に密着していて、登校時間が少ない」ことだったはずです。)

私立ではズバリ聞く学校も!学費を払えるか否かを確認しない公立校
確かに公立校は入学前の親子面接はなく、親の経済状況も不明です。(私立では保護者の面接時に「うちの学費がきちんと払えますか」?と直接聞く学校も存在しています。)公立小学校ではいろいろな環境の子どもが集まることが想定される中で、多くの皆さんが感じたように、もし導入するならもう少し現実的な価格帯で検討されたら良かったのにと思います。
いずれにせよ、銀座にあるという「土地柄」なのか、今回は校長の思いが飛躍し過ぎた感が否めません。アルマーニには何の罪もないだけに、ちょっと気の毒なお話です。
