お母さん
先日、息子の通った幼稚園の卒園アルバムがやっと完成したそうで、やっと手元に届いた日のことです。
ページを開くと、まだ卒園して3か月しか経っていないにもかかわらず、なぜかとても時間が経ったように思えました。
笑顔が並ぶ集合写真や行事ごとのページを1枚1枚とめくりながら、最後の白黒文集ページまで辿り着くと、そこには幼稚園での思い出、幼稚園で好きなこと、将来の夢などが、子ども達一人一人のたどたどしくも可愛らしいひらがなで綴られていました。
子ども達の手で書かれた文字からは、純粋さや、真っすぐさ、せっかちさ、あどけなさ、ぶきっちょさ、それぞれの個性が“カタチ”として表れていました。
中でも「将来の夢」は必見です。今時の子どもたちの夢は、「ユーチューバー」と書く子も珍しくない時代になり、定番の教師、医者、ケーキ屋さん、サッカー選手等々、見ていても微笑ましいものばかり。この中から、将来自分が描いた夢そのままの道を歩む人は何人いるのでしょう。
そして、さらに「好きな食べ物」に目を向けると、子ども達の好きそうなものばかりが遠慮なく並んでいました。
ハンバーグ、パスタ、カレーライス、からあげ、コロッケ、アイスクリーム……
その中で、ふと一人だけ「お母さんのごはん」と書かれた字。
お母さんのごはんって何だろう?
気になるなぁ……
もしかしたらお母さんが作った(すべての)ごはんかもしれないし、これを書いている時には具体的に思い浮かばなかったけれど、普段作ってもらっているお母さんのごはんのうちの何か、かもしれません。
いずれにしても料理名ではなく、「お母さんのごはん」と書けるのは、とても素敵に感じられたのです。
毎日、母親が家族のために作っているごはんのことを、「お母さん、今日も美味しいよ」「このメニュー大好き、やったー」と思いながらお腹いっぱいに食べる幼少期の記憶は、永遠の宝物になるにちがいありません。誰が作っているのかを意識し、作り手の愛情を感じて食べるという営みは、家族の結びつきを強くしてくれるはずだからです。
さあ、そこで我が子は何と書いていたのか、気になります。
息子が書いた「好きな食べ物」は、なんとハンバーグとピーマンの肉詰め。
(ひき肉メニューばかりじゃない!)と、我ながら思わず吹いてしまいました。
「食」は親と子をつなぐ、大事なコミュニケーションでもあります。
私もいつか、母として息子の記憶に残るような「おかあさんのハンバーグ」「おかあさんのピーマンの肉詰め」を作れるようになりたいものです。
それに気づかせてくれた「おかあさんのごはん」という言葉、ありがとう。
