グルーピスタ
社長インタビュー第一弾です。今回はGroupysta(グルーピスタ)を開発した経緯や、開発時に苦労したこと、今後の展望などの話をうかがいます。
さっそくですが最初にGroupysta(グルーピスタ)を開発するまでの経緯について教えて下さい。
Groupysta(グルーピスタ)を開発した経緯ですが、僕自身が人との付き合いが苦手なタイプなんですよね。コミュニティーとかに入るのも元々そんなに好きじゃないし、チームでなにかやるのもそんなに好きな訳じゃないんです。
ただ、コミュニティーとか人との繋がりがそんなに好きじゃなかった自分でも、仕事するときは必ず人と関わらざるを得ない。また私も妻と二人の娘の4人家族ですが、家庭を持てば必ず家族との繋がりも生まれるし、地域社会、保育園、小学校に行けば、どうしても他の親御さんとも関わるわけですしね。結局、どんなに自分が嫌だとしても、コミュニティーとか人との繋がりは切り離せないんです。

それだけ人との繋がりというものは僕たちの生活に根付いていて、なくてはならないもののはずなんだけど、正直な話、上手く最適化されていないような気がします。IT化によって、もっと上手いやり方ができるのではないかと思ったんです。
例えば、人と繋がりがあると必ずトラブルが発生しますよね。僕も元々そういうのが苦手だから…今までいろんなトラブルに遭ってきました。でも振り返ってみれば、それって回避できたトラブルだったんじゃないかと思うことも多い。コミュニケーションのミスとか、ちょっとした誤解とかが原因だったりしましたからね。そういうことを解決できないかなと思って作り始めたのがGroupysta(グルーピスタ)の原点です。
コミュニティーの最適化という点で、特に力を入れたのは?
まず、トラブルが少ない良いコミュニティーを作るにはどうしたらいいのかという議論をかなりの時間を使って行いました。細かい話は今回省きますが、結果、情報の透明性が高いコミュニティーだとトラブルが少ないのではないかという結論が出たんです。メンバーがたくさんいても、ちゃんと全メンバーに情報が伝わっているとか、コミュニティー内で情報の隠蔽がないとか。
情報の透明性が高ければ高いほど、コミュニティーのトラブルは少ないし上手く発展していく。これを結論として立てた上で、Groupysta(グルーピスタ)自体もそういうシステムのデザインになりました。つまり、できるだけコミュニティー内の情報が隠れないような工夫が随所に凝らしてあるんです。
例えば、トピックでなにか発言すると、Groupysta(グルーピスタ)のダッシュボードという全ての情報が見れる場所があるんですけど、そこの必ず一番上に表示される。アルバム機能も、基本的に誰かが変更した内容が隠されることなくトップに出てきます。
あと、プライベートメッセージみたいな機能も勿論あった方がいいという声もあるんですけど、今の時点ではつけていません。あるコミュニティーで二人のメンバーしか知らない情報があり他の人は知りません、っていう状態が容易に作れてしまいGroupysta(グルーピスタ)として目指す方向性が簡単に崩れてしまうので、良い案が見つかるまではプライベートメッセージの機能は追加しない予定です。
これから追加していく機能については、1つコミュニティーのアナリティクスみたいな機能を考えています。メンバーがどれくらい毎日来て、どれくらい発言していたみたいな情報も、通常は管理者だけが見れる状態なんですが、Groupysta(グルーピスタ)の場合は皆が見れる。それを普通にしたいと思っています。コミュニティーの活発度みたいなものを参加者も見られるようにすることでコミュニティの健全度や活発度を開示して、参加したものの実は全然動きが無いとか、動いてないように見えて実は毎日何十人もダッシュボードに確認に来ているだとかの情報を得れるようにしたいなと。
Groupysta(グルーピスタ)は「マグネット」っていう単位でコミュニティーが管理されてるんですけど、その単位でできるだけ情報が隠蔽されないよう、情報をどんどん外に出していくようにこれからもしていきたいですね。
マグネットとは?あまり聞き慣れない言葉ですね?
意味合い的には「たまり場」とか「人の集まる場所」という意味です。よく使われる「コミュニティー」という言葉は、日本人からすると誤解を生みやすい。コミュニティーと聞いて、イメージする単位が人によってかなり異なると思っています。
コミュニティ自体は家族、会社、地域社会、Youtuberの視聴者など人が集まればコミュニティと言えるぐらい意味が広い。そのせいもあって、人によってはSNSの知らない人同士の集まりで怪しいネガティブな意味合いとして取る人もいるし、部活やサークルのように学校など少しお硬いイメージと結び付けられることもあります。僕らが想定しているものはもっと広くて当たり前に身の回りにあるコミュニティなのにコミュニティという単語のせいで誤解されることがありそうだなと。
だから、できるだけコミュニティーという言葉をGroupysta(グルーピスタ)の中で使いたくないなと思い、「マグネット」にという表現にしました。

開発を進めていく上で、苦労したことや大変だったことは?
構想段階から数えると、4年くらいですね。Groupysta(グルーピスタ)というかたちになったのは2年ほど前ですが。かなり時間をかけて構想を固めてきたつもりです。
大変だったのは、できるだけ情報を公開していくという発想でデザインで進めることにはなったんですが、類似のアプリであんまりそういう方向のアプリっていうのがなかった点です。基本的には隠していこうっていうクローズの世界。どっちかっていうと、シンプルにするために隠すみたいな方向性なんですよね、どのアプリも。
それに普通のSNSは、その人が見たい情報だけをできるだけ見せて中毒性を高くしていますね。TwitterとかFacebookもそうですけど、見てる人が気に入る情報とか感情的に高ぶるような情報をできるだけ表示して、中毒性を高めるデザインになっています。
AIが判断する「あなたへのオススメ」みたいな機能のことですね。
あと自分で選べるじゃないですか、見る時間とかフォローとか。そういうのも含めて、その人が好きな情報だけをできるだけ出すっていうのがこれまでのSNSの形なんですよ。
逆にGroupysta(グルーピスタ)の場合は、できるだけ全部見せるっていう形なので、UIの作り方としてはあまりない。今まで隠したかったようなところを出すみたいな。
しかし、情報を出すっていうのは、逆に画面をシンプルにするのがすごく難しいんです。見ている人に画面を難しいとは感じてほしくないので、できるだけ分かりやすく且つ情報の透明性がしっかり保たれている状態を表示しなくてはいけない、っていうのがすごく難しかった。今でもまだ難しいと思っていて、日々どうしたら簡単に見せれるかなと考えながら開発してます。
機能的にどうしたら情報が隠れずに且つ見た瞬間にゴチャゴチャしてる画面だと思われないのか、すんなりその情報を受け取ってもらえるようなUIを意識してます。
コミュニケーションツールを考えると、LINEとかBandとか世間にありふれているように思いますが、それぞれの性質は?
先程も言いましたが、他のアプリは基本的にクローズドにするっていうのが目的なので、表現は悪いんですけど、Bandとかも基本的にはコミュニティーの中でいかに情報を内部で留めるかに注力している。LINEのグループもその中でいかにやるのかっていう形ですよね。
繰り返しになりますが、Groupystaは情報をオープンにすることに重きを置いているので考え方が完全に異なっています。今はまだ個性は見えづらいですが、これからは外に発信していく機能も拡充していきたいと考えています。コミュニティーの中身を外部に公開して、参加申請をすれば参加できる、それさえなくして誰でも入れるような形も作ろうとしています。
コミュニティー自体の情報発信もGroupystaでできるようにしたと思っていて、Groupysta内の「マグ」という記事が書ける機能も今はGroupysta内の一部の人しか見れません。それをウェブ上に公開する機能も予定しています。コミュニティー内だけで公開されるのではなく、外に出して問題ない情報はどんどん出していくというのが、このアプリの基本的な考え方です。

情報をオープンにするということで、逆に問題が発生しませんか?それとも透明性ゆえにトラブルが起こりにくくなることが狙いなのでしょうか?
それに関しては普通のSNSと同じで、通報されたら対処したり、ユーザー同士のブロック機能を使うなどの個別対処になりますね。
情報公開することで何を期待しているかというと、コミュニティー内でのトラブルは最初にも言ったように、「そんな話聞いてない」などのコミュニケーションのミスや、「そんなことを考えていたなんて知らなかった」などの情報のミスマッチが原因で起こりやすいんです。そんな認識のミスマッチが減る効果があるのではないかと考えています。
また、コミュニティーに参加する前に、そこがどんな場所なのかを知ることにも役立つのではないかと。雰囲気が自分に合わないとか、初心者歓迎と言いながら全然歓迎されないことも多いじゃないですか。そういったトラブル解消にも情報公開が役立つと思います。
公開されるがために、めったなことを言えないという防止力も期待できます。クローズドなコミュニティーだと過激化する場合もありますが、それは良くないですよね。
そういうサービスとしての趣旨や方向性が全体に伝わって、変な発信をする人が多くならなくなってくれると嬉しいなと思います。
どういう場面やどういう人たち(コミュニティー)に使ってほしいと思いますか。
すべてのコミュニティに使ってほしいアプリではありますが、現時点でのオススメは4~5人の友達とか、家庭内とかで使ってみてほしいですね。または数十人単位の社会活動をしてるグループとかゲームサークルとか研究会とか、がっつりしたコミュニティーとかでもぜひ使ってもらいたいかな。
さらに、このコミュニティーをどんどん発展させたいとか、メンバーをどんどん増やしていきたいというガツガツした意欲のある人たちに使ってもらえると、個人的にはうれしいです。何よりGroupystaの目的に合っているんじゃないかと思うんです。コミュニティーの発展を通じた社会貢献、それを支援することがGroupystaを作りたかった理由でもあるので。
このアプリですが、学校や職場などでも使えるでしょうけど、情報を隠蔽しないというスタンスなので、そういうグループとはやや合わないか理解されづらいかも。個々の有志で参加している社会人サークルや学校と関係ない若者のボランティアサークルとか、情報発信したいしメンバーも増やしたい!っていうコミュニティーの方が使いやすいかもですね。
最後に、秘匿性のない透明感のあるコミュニティーづくりのできるアプリを発表することで、社会にどのような影響を与えたいですか。
これまでのまとめにもなりますが、では改めて。
僕は人とのつながりの中で、情報をなるべく隠さないことが大事なことだと思ってます。今までは情報を隠すことでうまくやっていこうという世界でしたが、それは違うんじゃない?というメッセージを発信していきたいです。
もちろん個人情報など隠さないといけない情報もあるんですけど、今はいろんなものを隠し過ぎているんじゃないかなと。できるだけ情報を公開した方が、特にコミュニティーでの活動はうまくいくということをGroupystaを使う過程で知ってほしいです。
また、Groupystaは使ってないし、ユーザーとしてニーズにもマッチはしていない人にも、情報を公開した方がうまくいくかもという意識や考え方の転換になってもらえたらいいかな。実際に悪気なく生じるトラブルもコミュニティー内には多いので、Groupystaを使ってそういうのトラブルが減ってくれたらうれしいです。

足助 安國 | 株式会社IeOSAMU(イオサム)代表取締役
株式会社IeOSAMU(イオサム)の代表取締役。業務委託としてバックエンドエンジニア -> フロントエンドエンジニア -> UX設計レビュー業 -> バックエンドエンジニアという流れで大手企業を10年渡り歩いた後、株式会社IeOSAMUを設立。現在は株式会社IeOSAMUの代表をやりつつ引き続きエンジニアとして大手の会社でエンジニアとして働いている。