画家
招待を受けた画家たちのなかで、ゴーギャンだけがアルルでの暮らしに踏み切ったのはなぜなのか。画家のユートピアを夢見たゴッホの誘いに応じての共同生活。少なからず同じ志を持ち合わせていたのかもしれませんが、画商であるテオの経済的支援がそこに及ぶ事を頼りにしていたことは容易に想像がつきます。
それでもあまりにも有名な「画家たちの共同体」は、はじめの一歩を踏み出し、彼らは深く影響を与え合って、短期間に名作を生み出していく。
しかし、かつてのように芸術論について手紙を綴る必要はなくなりましたが、議論に歯止めはきかなくなり、お互いのピリピリとした批評は、制作途中の筆の運びにもにも及んでいきます。そして、すっかり疲弊したゴーギャンが去っていくことで構想は破綻してしまい、ゴッホは深く傷ついていく。
代表作である「ひまわり」ですが、その花の数はゴッホが理想を共にすることを望んで招待をした画家たちの数であり、この絵はゴッホの夢見た共同体そのものだと言われることもあります。それ自体独りよがりで稚拙な情熱なのかもしれませんが。
ただ、この絵について考えるときはいつも「もし」彼のユートピアが理想に近い形で形成されていたら、そこからどんな作品が描かれたのだろうか?という事や、衝突することはあったとしても悲劇的な破綻を免れることができ、もう少しスマートに、いい共同体を作ることができなかったのかと想像を巡らせることになります。個人的には、花瓶に収まらないくらいのひまわりも観てみたかったです。
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