映画「ホリデイ」
人と一緒に過ごすためには、お互いの譲り合いが必要不可欠です。
そのため、人を思いやるばかりに、ついつい自分の気持ちをなおざりにしてしまう人も多いのではないでしょうか。
しかし、自分の気持ちをダイレクトに表す「感情表現」もまた、大切なコミュニケーションの一環です。
お互いの気持ちを知ることこそが、濃密な信頼関係に繋がるからです。
今回ご紹介していく映画「ホリデイ」には、そんな感情表現が苦手な、もしくは、自分の気持ちを押さえつけてしまう女性たちが登場します。
彼女たちを通して、感情表現の大切さを見ていきましょう。
映画「ホリデイ」の作品概要
映画『ホリデイ』は、2006年に公開されたアメリカの恋愛映画です。
監督は「恋愛適齢期」や「マイ・インターン」で知られるナンシー・マイヤーズ。
主演はキャメロン・ディアスとケイト・ウィンスレットの2代巨頭が演じています。
また、2人の恋人役にはジュード・ロウとジャック・ブラックが並び、まさに豪華キャストと言える作品です。
今作は、女性監督であるナンシー・マイヤーズの感性が光る、おしゃれでみずみずしい恋愛映画となっています。
ロマンチックな恋愛映画を見たいときに、おすすめの一作です。
映画「ホリデイ」のあらすじ
クリスマスも間近に迫ったある日。
イギリスの新聞社でコラムニストとして働くアイリスは、恋人のジャスパーが別の女性と婚約していたことを知ります。
傷心のアイリスが自宅に帰りパソコンを開くと、一件のメッセージが届いていました。
それはかつて、彼女が旅行者に自宅を貸し出すため登録していたwebサイトからでした。
アメリカのロサンゼルスに住み、映画のCM制作会社の社長であるアマンダは、恋人の浮気をきっかけとして破局してしまいました。
しかし、アマンダは泣くことができません。
アマンダは心機一転のため、旅行に出ようと考えます。
そんなとき目に入ったのが、アイリスの住む可愛らしい一軒家でした。
アマンダとアイリスは連絡を取り合い、意気投合。
お互いの家を交換するために、遠い地へと旅立ったのです。
爽やかに泣いて笑える、素敵な恋愛映画

映画ジャンルの中でも、特に女性人気が高い恋愛映画。
この記事を読んでいる人の中にも、恋愛映画を好んで見る人は多いことでしょう。
映画『ホリデイ』は、まさに、恋愛映画好きな女性に見て欲しい作品の一つです。
作中に登場するファッションや家、小物は全ておしゃれで美しく、セリフ回しの一つ一つも機知に富んでいます。
こう言った部分に、監督であるナンシー・マイヤーズのこだわりを感じることができるのです。
また、アイリスやアマンダといった登場人物も、キュートでありながら、親近感の湧く女性として描かれています。
アイリスとアマンダは、双方ともに頭の良い女性です。
しかし、当然ではありますが、2人ともに欠点が存在しています。
その欠点とは、自分の思いをうまく伝えられないということ。
これにより、アイリスは「愛されていないかもしれず、他の女性と婚約した」恋人と別れることができませんし、アマンダは恋人とすれ違ってしまったのです。
こうした欠点は、世の中の多くの人が持っているものです。
そして、その点を忘れずに詳細に描写することで、人並み外れた美しい2人が、等身大の女性として映し出されています。
等身大の女性が恋に破れ、涙を流す姿。
新しい土地に旅立つ困惑と、ワクワクする感覚。
新しい恋の予感に、胸を躍らせる姿。
これらのどれか、もしくは、これらの全てを、世の中の女性たちのほとんどが経験したことがあるでしょう。
そして、物語を見ていくにつれ、どんどん感情移入できるようになります。
また、映画『ホリデイ』には「浮気」というキーワードも散見されます。
しかし、このキーワードが想起させるような、ドロドロとした感覚はありません。
アイリスは浮気相手として、アマンダは恋人に浮気をされた人物として描かれていますが、その描写がどこまでもコミカルで、爽やかなのです。
アイリスは元恋人を無理やり押し出し、アマンダは恋人に枕を投げつける。
これらが2人の感情が爆発した結果であり、たまりにたまった感情が噴出した瞬間です。
このシーンは物語の冒頭と最後の方でそれぞれ描かれており、2人の性格を的確に表現しています。
それがまた愉快でもあり、見る人を惹きつけて離しません。
映画『ホリデイ』は、女性同士で、恋人同士で、楽しんでみることができる素敵な恋愛映画だと言えるでしょう。
自分を見つめ、感情を表現する重要性

素直な感情表現で、自分の気持ちを伝えるということ。
これが苦手な人は多いものです。
ほとんどの場合、自分の感情を隠す方が物事を進めるのに便利ですし、感情を表して、相手にどう思われるか考えるのは不安だからです。
しかし時には、感情を隠さず伝えた方がうまくいく場合も考えられます。
今作「ホリデイ」に登場するアマンダとアイリスもまた、自分の感情を人に伝えるのが苦手な女性です。
アマンダは映画のCMを制作する会社を経営しています。
その経営は順調で、社長としての彼女の手腕が分かります。
しかし、その私生活はうまくいきません。
恋人よりも仕事を優先し、心がすれ違っていたのです。
アマンダはプライドが高いため、自分の思いを素直に伝えることが苦手です。
「浮気をされて悲しい」という思いを素直に表現できていれば、その後は変わっていたことでしょう。
しかし、アマンダは理屈で恋人と喧嘩をしてしまいます。
正論の押しつけは相手にとっても辛いもの。
結局、アマンダは恋人と別れてしまいました。
アイリスは、アマンダと同じく理知的な女性です。
コラムニストとしての実力は確かであり、美しい文章を書く女性として描かれています。
しかし、彼女は少し優柔不断な、「NO」と言えない女性でもあります。
アイリスの恋人・ジャスパーは口のうまい、アイリスを丸め込んでしまうような男性です。
アイリスと付き合いながら別の女性と婚約し、それでもなお、アイリスとの関係を続けようとします。
ちなみに、ジャスパーがアイリスを愛しているかはわかりません。
アイリスはそんな関係を終わらせたいと思いながら、なかなか「NO」を突き付けることができません。
ジャスパーは、アイリスのそんな欠点につけ込みます。
アイリスの性格を熟知しているのです。
そんな2人が、自分の感情を出したとき。
その瞬間に物語は大きく動きます。
それは、アイリスがジャスパーを押し出した(追い返した)瞬間であり、泣けないはずのアマンダが涙を流した瞬間です。
自分の感情を見つめ、表現する。
これにより、2人は自分の正直な気持ちに気が付くことができたのです。
自分の感情を人に伝えるためには、自分自身を見つめなおさなくてはなりません。
自分が自分を理解していなくては、人に伝えることなどできないからです。
今作を見ていると、自分自身を見つめること、その過程で自信を持つことの重要性に気づかされます。
感情表現をするには、これら2つが欠かせないからです。
自分に自信があれば、抵抗なく自分を表現することができます。
そして、自分に自信のある人は素敵です。
無理に「自分」を人に押し付ける必要はありません。
しかし、自分の気持ちを大切にすることは重要です。
適度な「感情表現」は、円滑なコミュニケーションに役立つはずです。
自分を表現することを恐れずに、アマンダやアイリスのように素敵な人物として脱皮してみませんか?
まとめ
見ているだけでうっとりするような恋愛映画。
作中に散りばめられた、映画好きには嬉しい小ネタの数々。
そして、人として成長していく登場人物たち。
映画『ホリデイ』には、こうした素敵な要素が含まれています。
そのため、内容そのものに驚きはなくとも、何度も見たくなるような作品に仕上がっています。
特に、クリスマスの時期に観賞すると、物語の世界にどっぷり浸ることができるでしょう。
ぜひ、アイリスとアマンダの恋愛模様を追いかけてみてください。
きっと、何か心に刺さるものがあるはずです。